ノガミ Nogami

ちなみに妻の連れ子だ。
妻は結婚初日に結婚詐欺罪で捕まった。4人の男性から金品をだまし取っていたらしい。今ムショにいる。

その日は怒涛だった。婚姻届を出し、ささやかながらお祝いでもしようかと帰宅したところで妻が口を開く。
「あなたに言いたいことがあるの。二人共、入ってらっしゃい」

そして開かれる扉、顔覗かせる幼子二人。歳の頃は5~6歳と3~4歳といったところだろうか。この子どもたちは一体……？

「私の子供♡今日から4人家族としてよろしくね」
聞いていないのだが？　聞いて　いないの　だが？？？？？

混乱を極める中、なにか言おうとカラカラに乾いた口を開きかけた時、自宅のチャイムが激しく鳴らされる。今それどころじゃないんだが！？

「野上さんのお宅ですか？△△署の者ですが…◇◇という女性が今そこに居ますよね？」

連行される妻、取り残された俺with幼子二人。
どうする…どうする俺！？
情報処理にリソースを費やされた結果生まれる沈黙の中に再び響くチャイム音。今度は何だ！！

「どうも〜出前で〜す」

そうだ、ささやかな祝いにと寿司を取っていたんだった…。

大人二人前の寿司を両手に、こちらを見上げてくる4つの円な瞳に向き直る。
「えっと…お腹空いてる？」

〜同気相求む編、完〜